新しいお部屋を探すとき、日当たりや駅からの距離、お部屋のデザインなどに心を奪われがちですが、「収納」のチェックを忘れてはいませんか?
「クローゼットがあるから大丈夫」と安易に考えてしまい、引越してから「持ってきた衣装ケースが入らない」「思ったより物が収納できず、部屋が片付かない」といった後悔の声をよく耳にします。
実は、収納スペースは図面だけでは分からない「奥行き」や「高さ」、「内部の仕様」が使いやすさを大きく左右する重要なポイントです。
この記事では、入居後に収納で失敗しないために、内見時に必ずチェックすべき収納スペースの広さと使い勝手について、場所別に具体的な確認方法を徹底的に解説します。
内見前の準備から当日の動き方まで網羅していますので、ぜひ参考にして、あなたの荷物がすっきり収まる理想のお部屋を見つけてください。
なぜ内見での収納チェックがこれほど重要なのか?
物件情報サイトや間取り図に「収納」と記載があっても、それが自分のライフスタイルに合っているとは限りません。
デザインや設備が気に入っても、収納が使いづらいと、日々の生活でストレスを感じる原因になります。入居後の快適な暮らしを実現するためには、内見の短い時間で、その物件の収納が持つポテンシャルを正確に見抜くことが不可欠です。
ここでは、なぜ内見での収納チェックが重要なのか、その理由を改めて掘り下げてみましょう。
図面に隠された「広さ」と「使い勝手」のギャップ
間取り図に描かれている収納スペースは、あくまで平面的な広さを示すもので、その収納が持つ本当の実力は分かりません。
例えば、クローゼットの奥行きが足りなければ、衣類を掛けたときに扉に擦れてしまったり、持っている収納ケースが収まらなかったりします。
また、押入れの中棚の高さや、シューズボックスの棚板が固定式か可動式かといった細かな仕様は、実際の使い勝手に大きく影響します。
こうした図面と現実のギャップを埋めることができる唯一の機会が内見なのです。
「収納が多い=使いやすい」というわけではない
収納スペースの数が多ければ多いほど良い、と考えがちですが、一概にそうとは言えません。重要なのは「量」よりも「質」、つまり自分の持ち物に合った形状とサイズであるかどうかです。
例えば、衣類は畳むより吊るして収納したい人にとって、押入れよりもハンガーパイプのあるクローゼットの方が使いやすいでしょう。
また、掃除機やスーツケース、扇風機といった特定の大きさのものをしまいたい場合、それが入るだけの幅・高さ・奥行きを備えた収納が必要です。
自分の荷物をどこにどう置くか、シミュレーションしながら見ることが大切です。
追加の収納家具はコストとスペースの無駄に
備え付けの収納が不十分だと、入居後に追加で収納家具を購入する必要が出てきます。これは予期せぬ出費になるだけでなく、貴重な居住スペースを圧迫することにも繋がります。
特に、単身者向けのコンパクトな間取りでは、置ける家具のサイズやレイアウトが限られます。お部屋を広くすっきりと使うためにも、備え付けの収納を最大限に活用できる物件を選ぶことが、経済的にも空間的にも賢い選択と言えるでしょう。
【場所別】内見で必ずチェックすべき収納スペース徹底解説
ここからは、お部屋の場所別に、具体的な収納のチェックポイントを解説していきます。内見に行く際は、必ずメジャーを持参しましょう。
そして、ただ見るだけでなく、実際に扉を開け閉めしたり、隅々まで観察したりすることが重要です。自分の暮らしを具体的にイメージしながら、一つひとつ丁寧に確認していきましょう。
玄関:靴箱(シューズボックス)
家の顔である玄関は、靴箱の収納力がそのすっきり感を左右します。靴の数や種類は人それぞれなので、自分の持ち物に合わせてチェックしましょう。
全体の収納量
自分の靴がすべて収まるか、おおよその数をイメージします。一人暮らしでも20足程度収納できると安心です。
棚の奥行きと幅
男性の大きいサイズの靴(27cm以上など)でも、つま先や踵がはみ出さずに扉が閉まるか確認しましょう。
棚板の可動性
棚板の高さを変えられる可動式かどうは非常に重要です。固定式の場合、ブーツやハイヒール、ハイカットスニーカーなど、高さのある靴が収納できない可能性があります。
傘の収納スペース
傘を立てて収納できるスペースがあるか、または濡れた傘を一時的に置ける場所があるかどうかも確認すると便利です。
居室:クローゼット・押入れ
衣類や寝具、季節物などをしまうメインの収納スペースです。ここの使い勝手が、部屋全体の片付きやすさに直結します。
奥行き
最も重要なポイントの一つです。ハンガーに掛けた衣類を収納する場合、一般的なスーツの肩幅を考慮すると、最低でも55cm以上の奥行きが欲しいところです。
手持ちの衣装ケースや収納ボックスがある場合は、そのサイズも測っておき、収まるかどうか確認しましょう。
ハンガーパイプの位置と高さ
パイプの位置が高すぎたり低すぎたりしないか。ロングコートやワンピースを掛けたときに、裾が床についてしまわないか、高さを確認します。
また、たくさんの衣類を掛けても耐えられる強度があるかも見ておきましょう。
枕棚(まくらだな)
ハンガーパイプの上部にある棚を枕棚と呼びます。
使用頻度の低いバッグや帽子、季節の小物などを置くのに便利です。奥行きや高さ、手を伸ばして届く範囲かを確認しましょう。
扉の開閉方式とスペース
扉が手前に開く「開き戸」か、左右にスライドする「引き戸」かを確認します。
開き戸の場合、ベッドやデスクなどの家具を置くと扉が開かなくなってしまうことがあるため、扉の前にどれくらいのスペースが必要か見ておくことが重要です。
キッチン:食器棚・シンク下収納
キッチンは、調理器具や食器、調味料、食料品のストックなど、物が多くなりがちな場所です。収納が充実していると、料理の効率も格段にアップします。
シンク下・コンロ下の収納
収納スペースの広さだけでなく、排水管がどのように通っているかを確認しましょう。
排水管が中央にあると、鍋やフライパン、高さのある調味料ボトルなどをうまく収納できない場合があります。
吊戸棚(つりとだな)
シンクの上などにある吊戸棚は、高さがポイントです。踏み台がないと物の出し入れが難しい高さだと、次第に使わなくなってしまうことも。
自分の身長で、どの段まで楽に手が届くか確認しましょう。耐震ラッチ(地震の際に扉が開かないようにする留め具)の有無もチェックポイントです。
食器棚や冷蔵庫を置くスペース
備え付けの食器棚がない場合は、自分で用意する必要があります。
設置したい場所に、十分な幅・奥行き・高さがあるか、コンセントの位置は適切かを正確に採寸しておきましょう。冷蔵庫も同様です。
水まわり:洗面台・洗濯機置き場
洗面脱衣所は、タオルや洗剤、化粧品、掃除用品など、細々した物を多く収納する場所です。限られたスペースを有効に使えるか確認しましょう。
洗面台の収納
鏡の裏が収納になっている三面鏡タイプは、歯ブラシや化粧品などを整理しやすく人気です。
また、洗面台の下のスペースには、洗剤やシャンプー類のストック、掃除用品などをどれくらい収納できるか、広さを確認します。
洗濯機置き場の周辺
洗濯機パンの横や上に、洗剤や柔軟剤を置ける棚やスペースがあるか確認しましょう。
スペースがなければ、ランドリーラックなどを設置できるか、幅や高さを測っておくと安心です。リネン庫(タオルや下着類をしまう収納)があれば、さらに便利です。
収納力を最大限に引き出すための内見時の持ち物とテクニック
内見の時間は限られています。効率よく、かつ正確に収納をチェックするために、事前の準備と当日のちょっとしたテクニックが役立ちます。
万全の準備で内見に臨み、後悔のないお部屋選びをしましょう。
内見時の必須アイテムリスト
これさえあれば、収納チェックは完璧です。不動産会社の担当者もメジャーを持っていることが多いですが、自分で使い慣れたものを持参するのがおすすめです。
メジャー
収納内部の「幅・高さ・奥行き」の三辺を測るために必須です。5m程度の長さがあると、部屋全体の採寸にも使えて便利です。
スマートフォン(カメラ・メモ機能)
収納内部の写真や動画を撮っておくと、後から見返して検討する際に非常に役立ちます。採寸した寸法は、忘れないようにすぐにメモアプリなどに入力しましょう。
採寸したい物のサイズメモ
自宅で使っている衣装ケースや収納ボックス、ゴミ箱、スーツケースなど、新居でも使いたい物のサイズを事前に測ってメモしておきましょう。
内見時に、それらが収納可能かすぐに確認できます。
プロが実践する内見時のアクションプラン
ただ漠然と収納を見るのではなく、いくつかのアクションを意識するだけで、チェックの精度が格段に上がります。
とにかく開けて、動かしてみる
すべての収納の扉や引き出しは、必ず自分の手で開閉してみましょう。
スムーズに動くか、異音はしないか、建付けが悪くないかを確認します。扉が壁や他の設備にぶつからないかも重要です。
内部を隅々までスマホで撮影する
明るい場所で撮影し、カビやシミ、ひび割れ、変な臭いがないかなどもチェックします。コンセントが収納内部に設置されている場合もあるので、見逃さないようにしましょう。
自分の荷物を置くシミュレーションをする
「ここに掃除機を置いて、棚の上段にはシーズンオフの服を詰めたボックスを…」というように、自分の持ち物をどこに配置するか具体的に頭の中でシミュレーションします。
これにより、必要なスペースが足りているか、より現実的に判断できます。
まとめ
お部屋探しにおいて、収納は日々の暮らしの快適さを左右する非常に重要な要素です。
間取り図の「収納」という文字だけを鵜呑みにせず、必ず内見で実際の広さ、奥行き、高さを自分の目で確かめ、採寸することが失敗を防ぐ最大のポイント。
クローゼットの奥行き、靴箱の棚板、キッチンの配管の位置など、細かな部分までチェックすることで、入居後の「こんなはずじゃなかった」という事態を避けられます。
今回ご紹介した場所別のチェックポイントと内見時のテクニックを活用し、あなたのライフスタイルにぴったり合った、収納上手な理想のお部屋を見つけてください。
