お金・費用

火災保険は不動産屋指定じゃないとダメ?保険料を安くするコツ

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

賃貸物件の契約時、当たり前のように提示される火災保険。

「不動産会社に指定されたものに入るのが普通なのかな?」「なんだか保険料が高い気がするけど、断れないんだろうな…」と、疑問や不満を感じながらも、言われるがままに加入している方は多いのではないでしょうか。

実は、不動産会社が推奨する火災保険に必ず加入しなければならないという義務はありません。自分で保険を選び、内容をしっかり比較検討することで、補償はそのままに保険料を大幅に節約することも可能です。

この記事では、賃貸契約における火災保険の必要性から、不動産会社指定の保険を断って自分で選ぶ方法、そして保険料を賢く安くするための具体的なコツまで徹底的に解説します。

知らないままでは損をしてしまうかもしれない火災保険の知識を身につけ、賢くお部屋探しを進めましょう。

そもそも賃貸契約で火災保険の加入は必須?

賃貸物件を契約する際、ほとんどの場合で火災保険への加入が求められます。これは一体なぜなのでしょうか。

まずは、賃貸契約における火災保険の立ち位置と、その重要性について正しく理解しておきましょう。法律上の義務と契約上の義務の違いを知ることが、賢い保険選びの第一歩です。

火災保険への加入は法律上の義務ではない

まず知っておくべきなのは、火災保険への加入は、法律で定められた義務ではないということです。「法律で決まっているから」と説明された場合、それは正確な情報ではありません。

ただし、だからといって「入らなくても良い」ということにはなりません。

次の項目で説明するように、ほとんどの賃貸物件では、法律とは別の理由で加入が必須条件とされています。

多くの賃貸借契約書で「加入」が条件になっている

法律上の義務はなくても、ほとんどの賃貸物件では「賃貸借契約書」の中で、火災保険(借家人賠償責任保険付き)への加入が「契約の条件」として定められています。

これは、入居者が万が一火事や水漏れなどを起こしてしまった場合に、大家さんや他の入居者に対して損害賠償責任を果たすための重要な取り決めです。

もし保険に未加入の状態で損害を与えてしまうと、高額な賠償金を自己負担で支払わなければならず、現実的に不可能です。

そのため、大家さん側が自身のリスクを守るためにも、保険加入を必須としているのです。

大家さんを守る「借家人賠償責任保険」の重要性

賃貸契約で求められる火災保険の最も重要な部分は、実は自分の家財を守る「家財保険」だけではありません。大家さんへの賠償責任をカバーする「借家人賠償責任保険(しゃっかにんばいしょうせきにんほけん)」が極めて重要です。

これは、入居者の過失(火の不始末、お風呂の水を溢れさせるなど)によって部屋に損害を与えてしまった場合に、原状回復費用を補償するための保険です。

大家さんはこの保険があることを前提に部屋を貸しているため、これに加入していないと契約自体ができないケースがほとんどです。

不動産屋指定の火災保険に加入しないとダメ?

「火災保険の加入が必須なのはわかった。でも、なぜ不動産会社が指定する保険に入らないといけないの?」これは誰もが抱く疑問です。

結論から言えば、その必要はありません。

ここでは、なぜ不動産会社が保険を勧めてくるのか、そして自分で選ぶ場合の注意点について解説します。

結論:自分で選んだ火災保険でもOK!

結論として、不動産会社が指定する保険に加入する義務はなく、自分で探してきた火災保険に加入しても全く問題ありません。

重要なのは、「賃貸借契約書で定められた条件(特に借家人賠償責任保険の補償額など)を満たしていること」です。

この条件さえクリアしていれば、どの保険会社のどの商品を選んでも、大家さんや不動産会社がそれを理由に契約を拒否することは基本的にできません。

なぜ不動産会社は特定の保険を勧めてくるのか?

不動産会社が特定の火災保険を熱心に勧めてくるのには、理由があります。

多くの不動産会社は保険会社の代理店を兼ねており、契約が成立すると保険会社から代理店手数料(キックバック)を受け取ることができるからです。

これはビジネスモデルの一つであり、違法なことではありません。しかし、不動産会社が提示するプランは、手数料が高めに設定されている商品や、不要な補償までセットになった割高なプランである可能性もゼロではありません。

そのため、言われるがままに契約するのではなく、一度立ち止まって自分で比較検討することが大切なのです。

自分で選ぶ場合の注意点と不動産会社への伝え方

自分で保険を選ぶと決めたら、不動産会社の担当者へその旨を伝える必要があります。その際、単に「自分でやります」と伝えるだけでは、スムーズに進まない可能性もあります。

以下のように、丁寧かつ具体的に伝えるのがポイントです。

伝え方の例文

「ご紹介いただいた火災保険の件ですが、自分で探して加入しようと考えております。御社の指定する補償内容(借家人賠償責任保険の金額など)の条件を教えていただけますでしょうか。その条件を満たした保険に加入し、入居日までに保険証券のコピーを提出いたします。」

このように伝えることで、「契約条件はきちんと守ります」という意思が伝わり、担当者も安心して手続きを進めてくれるでしょう。

火災保険料を安くする5つのコツ

自分で火災保険を選ぶメリットは、なんといっても保険料を安くできる可能性があることです。

不動産会社提示のプランが年間1万円だったところ、自分で探したら同程度の補償で5,000円になった、というケースも珍しくありません。

ここでは、保険料を安くするための具体的な5つのコツをご紹介します。

【コツ1】補償内容を吟味する(不要な特約は外す)

火災保険には、火災以外にも「落雷」「破裂・爆発」「風災・雪災」「水濡れ」など様々な補償がセットになっています。まずは、自分にとって本当に必要な補償を見極めることが重要です。

例えば、マンションの高層階に住むのであれば、床上浸水のリスクは低いため「水災」の補償は不要かもしれません。また、高価な貴金属や美術品を持っていなければ、「盗難」に対する手厚い補償も必要ないでしょう。

自分のライフスタイルや住む物件の環境に合わせて、不要な補償(特約)を外すことで、保険料をスリムにできます。

【コツ2】複数の保険会社から見積もりを取る(相見積もり)

保険料は、保険会社によって大きく異なります。同じ補償内容であっても、A社では8,000円、B社では5,000円ということもあります。

そのため、必ず複数の保険会社から見積もりを取り、比較検討する「相見積もり」を行いましょう。

最近では、インターネット上で複数の保険会社の見積もりを一度に取得できる一括見積もりサイトなどもあり、手軽に比較できるのでぜひ活用してみてください。

※相見積もりサイトを利用すると、その分各社からの営業電話も多く受けることになるので注意しましょう。

【コツ3】家財保険の金額を適切に設定する

家財保険は、テレビや冷蔵庫、洋服など、自分の持ち物が損害を受けた際に補償されるものです。

この補償額(保険金額)は自分で設定できますが、高すぎると保険料が無駄に高くなり、低すぎると万が一の際に十分な補償が受けられません。

自分の持っている家財が一体いくらくらいなのかを冷静に計算し、適切な金額を設定しましょう。

一般的に、一人暮らしであれば300万円~500万円程度が目安とされていますが、持ち物の量に合わせて調整することが大切です。

【コツ4】保険期間を長くする(長期契約割引)

火災保険は、1年契約よりも2年契約、2年契約よりも3年契約と、契約期間を長くするほど1年あたりの保険料が割安になる「長期契約割引」が適用されることがほとんどです。

賃貸契約が2年間であれば、火災保険も合わせて2年契約にすることで、トータルの保険料を抑えることができます。

【コツ5】インターネット割引などを活用する

保険会社によっては、インターネット経由で申し込むだけで適用される「インターネット割引」や、保険証券を発行しない代わりに割引が適用される「証券レス割引」などを用意している場合があります。

こうした割引制度を積極的に活用することも、保険料を節約するための有効な手段です。申し込みの際には、適用できる割引がないか必ず確認しましょう。

自分で火災保険を選ぶ際のチェックポイント

保険料の安さだけで選んでしまうと、いざという時に「必要な補償がなかった…」と後悔することになりかねません。

自分で保険を選ぶ際には、安さだけでなく、契約条件を満たしているか、必要な補償が備わっているかを必ずチェックしましょう。

借家人賠償責任保険の補償額は十分か?

最も重要なチェックポイントです。不動産会社や大家さんから、借家人賠償責任保険の補償額について「1,000万円以上」「2,000万円以上」といった指定があるはずです。

この金額を必ず満たしているプランを選びましょう。この条件をクリアしていないと、契約そのものを受け付けてもらえません。

個人賠償責任保険は付帯しているか?

「個人賠償責任保険」は、日常生活において他人にケガをさせたり、他人のモノを壊してしまったりした場合の損害賠償をカバーする保険です。

例えば、「自転車で歩行者にぶつかってケガをさせた」「お店の陳列商品を誤って壊してしまった」といったケースで役立ちます。

借家人賠償責任保険と混同しがちですが、これは別物です。非常に役立つ保険なので、付帯しているか、あるいはオプションで追加できるかを確認することをおすすめします。

保険期間は入居期間をカバーできているか?

賃貸契約の期間と、火災保険の保険期間が一致しているかを確認しましょう。通常、賃貸契約は2年間なので、火災保険も2年間で契約するのが一般的です。

うっかり1年契約にしてしまうと、更新手続きを忘れてしまい、気づいた時には無保険状態だった…というリスクがあります。

保険証券のコピーを不動産会社に提出できるか?

契約した保険の内容を証明するために、不動産会社から「保険証券」または「加入者証」などのコピーの提出を求められます。

保険会社によっては、ペーパーレスで証券が発行されない場合もありますが、その際は加入内容がわかる画面のスクリーンショットや、PDFデータなどで対応可能か、事前に不動産会社に確認しておくとスムーズです。

まとめ:火災保険は「言われるがまま」から「賢く選ぶ」時代へ

今回は、賃貸契約における火災保険の選び方と、保険料を安くするコツについて解説しました。

【この記事のポイント】

  • 火災保険の加入は、法律ではなく「契約上の義務」であるケースがほとんど。
  • 不動産会社指定の保険に入る必要はなく、自分で選んだ保険でOK。
  • 自分で選ぶ際は、不動産会社が指定する「借家人賠償責任保険」の条件を満たすことが必須。
  • 「補償内容の吟味」「相見積もり」「適切な家財設定」などで保険料は安くできる。

賃貸契約時の火災保険は、つい「初期費用の一部」として深く考えずに支払ってしまいがちです。しかし、ほんの少しの手間をかけるだけで、数千円から数万円単位の節約につながる可能性があります。

「不動産会社に言われたから」と諦めるのではなく、この記事を参考に、ぜひ一度ご自身で保険の見積もりを取ってみてください。

補償内容と保険料に納得のいく保険を自分で賢く選ぶことが、満足度の高いお部屋探し・お引越しにつながるはずです。

ABOUT ME
不動産マスター
不動産マスター
投資不動産売買、不動産賃貸の仕事に携わってきました。資産構築のための不動産投資や失敗しないためのお部屋探しができるように情報を配信しています。
こちらもおすすめ